退職金はいつもらえる?2つの受取方法と支払われないときの対処法を解説

退職手続きの書類を前に考える会社員
  • 退職金の受け取り時期に不安がある
  • 退職金の金額が適正かわからない
  • 退職金の税金や活用方法について悩んでいる

退職金は将来の生活設計に大きく影響します。しかし、いつもらえるのか、退職後の支払いに間に合うのか、不安を抱いている人もいるでしょう。一般に会社から支給される退職一時金は退職後1~2か月が目安ですが、正確な支給日は会社の規程によって異なります。

この記事では、退職金の受け取り方とタイミング、相場、税金、支払われないときの対処法を解説します。自己都合退職や中退共、企業型DCの注意点も紹介するので、自分が利用する制度に合わせて入金までの見通しを立て、退職後の生活設計に役立ててください。

目次

退職金はいつもらえるのか

会社の退職一時金と中退共の支払時期を比較した図

一般的な退職金の支払時期

会社から支給される退職一時金は、一般に退職日から1~2か月後が目安です。ただし、一律の支給期限があるわけではなく、会社の就業規則や退職金規程に定められた日によって異なります。

退職月の翌月末など、会社ごとに支払時期が決まっています。退職前に規程を確認し、具体的な振込予定日がわからなければ、人事や経理の担当者に問い合わせると生活費の見通しを立てやすくなります。

企業の規模による退職金の支払時期の違い

支払時期は企業規模だけでは判断できません。会社が直接支払う制度なのか、外部の制度から給付されるのかによっても、手続きや入金までの期間が変わります。

例えば、中小企業退職金共済制度(中退共)では、退職者本人による請求が必要です。支給目安は退職日からではなく、請求受付から1~2か月半程度となっています。退職月までの掛金の入金確認や書類の不備によって、さらに時間がかかる場合もあります。

中退共の振込予定日は、準備が整うと届く「退職金等振込通知書」で確認できます。通知は振込予定日の約2週間前に発送され、金額と予定日は電話やメールでは回答されません。

退職金の支払いが遅れるケース

退職金の入金が予定より遅い場合は、手続きの進み具合を確認する必要があります。書類の不足や振込口座情報の誤り、退職者が多い時期の事務処理などが原因として考えられます。

担当者には、遅れている理由だけでなく、追加で必要な書類と振込予定日を尋ねましょう。事務処理に時間がかかるという説明があっても、規程上の支給日を過ぎている場合は対応を求める必要があります。

自己都合退職でも受け取れる条件

退職金の条件を人事担当者に確認する社員

自己都合退職でも、会社の退職金制度の支給条件を満たしていれば受け取れる場合があります。退職金制度の設置自体は法律上の義務ではないため、すべての会社で支給されるわけではありません。

確認したいのは、制度の有無、最低勤続年数、対象となる従業員の範囲、退職理由による支給率の違いです。会社都合退職より金額が少なくなることや、勤続年数が短く支給対象外となることもあります。

企業型DCは退職時に受け取れるとは限らない

企業型確定拠出年金制度(企業型DC)の老齢給付金は、原則として60歳以降に受け取る制度です。転職などで退職しても、すぐに生活費として引き出せるとは限りません。

加入期間によっては、受給開始が60歳より後になる場合もあります。退職一時金と企業型DCを併用している会社では、退職時に入金される部分と、将来受け取る部分を分けて確認してください。

退職金の受け取り方とタイミングの種類

退職金の一括受取と年金受取の特徴を比べる図

一括受け取り

一括受け取りは、退職金を一度に受け取る方法です。まとまった資金を生活費や住宅ローンの返済などに充てられるため、退職直後に必要なお金を確保しやすくなります。

ただし、自由に使える金額が大きい分、使い過ぎには注意が必要です。一括で受け取っても、物価上昇によってお金の実質的な価値が下がるリスクは残ります。使う予定と手元に残す金額を決めておくと安心です。

受取方法を選べるかどうかは会社の制度によります。まず利用できる選択肢を確かめましょう。» 一時金?年金?退職金の適切なもらい方や税金対策を解説

年金受取

年金受取は、退職金を分割して定期的に受け取る方法です。一度に使い切ることを防ぎやすく、退職後の継続的な収入として活用できます。

一方で、まとまった支出への対応には別の資金が必要です。運用益が必ず上乗せされるわけではなく、一括受け取りより受取総額が増えるかどうかも制度によって異なります。

受取開始年齢、期間、頻度、死亡した場合の遺族への給付は、加入先の規程で確認する必要があります。一時金と年金を併用できる制度もあるため、退職直後の支出と将来の収入の両方を考えて選ぶとよいでしょう。

退職金が支払われないときの対処法

退職金の未払いを会社担当者に相談する社員

会社の担当部署に確認する

退職金が振り込まれない場合は、支給対象であることと規程上の支給日を確認したうえで、会社の担当部署に問い合わせましょう。制度がない場合や最低勤続年数を満たさない場合は、入金の遅れとは事情が異なります。

問い合わせる際には、次の点を確認すると状況を把握しやすくなります。

  • 支払いが遅れている理由
  • 書類や口座情報に不備がないか
  • 具体的な振込予定日
  • 回答を受けられる期限

後々の認識違いを避けるため、回答はメールや書面でも残しておくと安心です。

会社に退職金を請求する

支給日を過ぎても支払いがなく、問い合わせでも解決しない場合は、書面で請求する方法があります。規程や会社の回答に基づき、請求内容を具体的に記載します。

  • 退職日と勤続年数
  • 退職金の支給根拠となる規程
  • 請求する金額
  • 支払いを求める期限

内容証明郵便を利用すると、いつ、誰に、どのような内容を送ったかを記録できます。配達証明を付ければ、届いた事実も確認可能です。ただし、送付だけで支払いが保証されるものではありません。

会社が応じない場合は、請求を繰り返すだけでなく、労働基準監督署や弁護士への相談につなげましょう。

労働基準監督署へ相談する

規程に基づく退職金が支払われない場合は、労働基準監督署に相談できます。支給条件や会社の対応を確認しても解決しないときの相談先です。

相談時は、退職金規程、雇用契約書、会社とのやり取り、請求書の控えなどを用意すると経緯を伝えやすくなります。窓口の利用方法や受付時間は、管轄の労働基準監督署に確認してください。

状況に応じて会社への調査や指導が行われる場合がありますが、相談すれば必ず回収できるわけではありません。

弁護士に相談する

法律事務所で弁護士に退職金について相談する人

退職金を受け取る権利や金額について会社と争いがある場合は、労働問題に詳しい弁護士への相談が選択肢となります。規程や証拠を踏まえ、交渉や法的手続きの進め方を検討できます。

弁護士には、会社との交渉や労働審判、訴訟などを依頼できる場合があります。ただし費用がかかるため、請求額、費用の見込み、会社の支払能力も含めて相談するとよいでしょう。

退職金の相場

社員が勤続年数別の退職金相場の資料を確認する

一般的な退職金の相場

退職金の相場は、勤続年数、学歴、企業規模、退職理由などによって異なります。年収の一定倍率だけでは、自分が受け取れる金額を判断できません。

金額の一例として、東京都の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」に掲載された、大学卒のモデル退職金は次のとおりです。卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の水準であり、実際の支給額や現在の相場を保証するものではありません。

スクロールできます
勤続年数自己都合退職会社都合退職
3年19万2,000円28万7,000円
5年35万6,000円51万1,000円
10年98万5,000円129万5,000円
25年453万9,000円528万7,000円

退職理由によっても差があるため、相場は目安として使い、自分の見込額は会社の担当部署に確認しましょう。» 退職金の相場は?退職金の基礎知識から税金対策まで徹底解説!

大企業と中小企業の退職金の違い

企業規模は退職金額に影響する要素ですが、大企業と中小企業それぞれに一律の金額があるわけではありません。制度の有無や計算方法が会社ごとに異なるためです。

中小企業でも中退共などを利用している場合があり、会社の規模だけで受給の可否は判断できません。比較する際は、同じ勤続年数や退職理由の金額であるかを確かめる必要があります。

役職による退職金の相場の違い

退職時の役職などによって、支給額が変わる場合があります。給与額や役職が計算に反映されるかどうかは、会社の退職金規程によります。

例えば、管理職で年収が高くても、年収の2~3倍を受け取れるとは限りません。職種名や年収だけで見積もらず、基本給や勤続年数が計算にどう使われるかを確認すると、受給額の見通しを立てやすくなります。

業種による退職金の相場の違い

業種を象徴する資料や小物を並べたオフィスの会議テーブル

業種ごとの相場を見る際は、調査年や対象企業、学歴、退職理由をそろえて比較する必要があります。条件が違う数値を並べると、受給額を見誤る可能性があるためです。

以下は、東京都の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」第8表-②・③・⑦・⑨に掲載された、都内中小企業の高校卒・定年退職のモデル退職金です。2022年の調査値であり、現在の支給水準を示すものではありません。

業種過去の退職金の目安
建設業1,133万4,000円
製造業999万6,000円
金融業、保険業1,073万6,000円
学術研究、専門・技術サービス業1,026万1,000円

同じ業種でも会社ごとの制度で金額は異なります。調査値と自社の見込額は分けて考えましょう。» 東京都産業労働局(外部サイト)

退職金にかかる税金

窓辺の机に置かれた電卓と書類ファイル

退職金にかかる税金と計算方法

退職金を一時金で受け取る場合は、通常、退職所得として所得税などと住民税の対象になります。ただし、退職所得控除があるため、受取額の全額に税金がかかるわけではありません。

退職所得の金額は、原則として「(源泉徴収前の退職金-退職所得控除額)×1/2」で計算します。退職所得控除額は次のとおりです。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、勤続15年で1,000万円を受け取る場合、控除額は600万円、原則の計算による退職所得は200万円となります。ただし、勤続5年以下の人などには、2分の1の計算が一部または全部適用されない例外があります。

所得税は課税退職所得金額に応じて計算し、住民税は通常、課税退職所得金額の10%です。所得税に加わる税は、2026年分までは復興特別所得税、2027年分以後は防衛特別所得税と復興特別所得税となります。改正前後で、これらの付加税の合計税率に変更はありません。» 国税庁(外部サイト)

退職金の節税対策

税負担を考える際は、一時金と年金の違いを確認する必要があります。一時金は原則として退職所得、年金形式は通常、雑所得として扱われるため、一括受け取りが誰にとっても有利とは限りません。

一時金を受け取る場合は、支払いを受けるまでに「退職所得の受給に関する申告書」を支払者へ提出します。未提出の場合、原則として支給額の20.42%が源泉徴収され、本人の確定申告で税額を精算することになります。提出済みなら、退職金については原則として確定申告は不要です。

同じ年に複数の退職金を受け取る場合や、以前にも受け取っている場合は、控除額の計算が変わることがあります。受取方法を決める前に、他の退職金や年金の予定も含めて確認しましょう。» 国税庁(外部サイト)

入金が翌年でも原則は退職した年の所得

退職所得が何年分になるかは、通常、実際の入金日ではなく退職日で判断します。例えば、12月31日に退職し、翌年2月に退職手当を受け取った場合は、原則として退職した年の退職所得です。

入金が年をまたぐ場合は、支給明細や源泉徴収票の対象年も確認するとよいでしょう。追加支給などは扱いが異なる場合があるため、判断に迷うときは支払者や税務署に問い合わせてください。

退職金を賢く活用する方法

窓辺のテーブルに置かれたノートと住宅模型

資産運用で退職金を増やす

退職金の資産運用は、生活費や近く使う予定のお金を確保してから検討しましょう。利益が期待できる一方、運用方法によっては元本割れがあり、必要な時期に資金が不足するおそれもあります。

預貯金にも物価上昇によって実質的な価値が下がるリスクがあるため、使う時期と許容できる損失を考えて配分することが大切です。退職金を受け取った直後に、全額の使い道を決める必要はありません。

投資信託や株式などを検討する際は、値動きや手数料、換金の条件を確認してください。NISAを利用する場合も、利益の非課税制度が損失を防ぐわけではありません。制度の最新条件は公式サイトで確認し、必要に応じて専門家へ相談するとよいでしょう。

住宅ローンを繰上げ返済する

退職金を住宅ローンの繰上げ返済に充てると、将来支払う利息を減らせる場合があります。ただし、返済によって手元資金が減るため、老後の生活費や急な支出とのバランスを考える必要があります。

全額返済と一部返済のどちらにするかは、返済後に残る資金も含めて検討しましょう。完済までの利息や手数料、手続き方法は契約や金融機関によって異なります。

窓口での手続きが必要か、インターネットで申し込めるかも含め、最新の条件を借入先の公式サイトや担当窓口で確認してください。

まとめ

窓辺で庭を眺める退職後の人と、鉢植えのある食卓

会社から支給される退職一時金は、退職後1~2か月が一般的な目安ですが、実際の支給日は規程によって異なります。中退共は請求受付からの期間を確認し、企業型DCは退職時にすぐ受け取れるとは限らない点に注意が必要です。

支給日を過ぎても振り込まれない場合は、会社に理由と予定日を確認し、解決しなければ書面での請求や労働基準監督署、弁護士への相談を検討しましょう。受取方法は税金と生活費の両方を踏まえて選び、受け取った後も必要な資金を手元に残して活用することが大切です。

転職を考えている方へ

新しいキャリアを目指して転職を検討しているものの、どの転職サイトやエージェントが自分に合っているのか悩んでいませんか?

「【保存版】おすすめの転職サイト・エージェントまとめ」では、各サービスの特徴や利点を詳しく解説し、あなたにピッタリの転職支援サービスを選ぶためのポイントをまとめています。

効率的に転職活動を進め、理想の職場を見つけるためのガイドとしてぜひ参考にしてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (1件)

コメントする

目次